译者按:日本设景家小林治人先生,几十年来致力于景观事业的发展,推崇还原自然大地和绿色的设计伦理,提出“设景”的原则和理念。参与了东京台场海滨公园和横滨港未来临海公园等日本国内项目以及国外众多项目的设计,现任株式会社东京景观研究所社长。著有《设景——灵感极其展开》、《Landscape Design——设景的世界》等书。于今年9月接受风景园林新青年专访,分享了他提出“设景”概念的缘起和展开。他对20世纪及21世纪社会生产形态和生态困境的洞察,对景观行业的未来方向的思考,值得我们反复回味与借鉴。期间修正原稿5次,字斟句酌,力求完美,现将中文译文及日文原稿展示给大家,以表敬意。
小林治人先生简介:
毕业于东京农业大学农学部造园学科。认定国际公园士、公园管理运营士。现任株式会社东京Landscape研究所社长、社团法人公园管理运营士会会长、国际设景集团代表理事、英国景观学会名誉副会长、社团法人日本造园学会名誉会员、一般财团法人Landscape协会顾问、IFLA日本顾问。曾任日本大学、东京农业大学、北海道东海大学、建设大学(现国土交通大学)、国际协力事业团等讲师。著有《设景——灵感极其展开》、《Landscape Design——设景的世界》等书。
主要作品:
东京台场海滨公园
横滨港未来临海公园
国营昭和纪念公园
国营Alps安云野公园
日本挪威友好庭院
1970年大阪万博会广场
1975年冲绳海洋博览会海滨会场
1985年筑波科学博览会会场
1989年横滨世博会会场
1990年大阪花博会会场
1999年昆明世界园艺博览会 日本出展庭院
2000年淡路花博会会场
2011年西安世界园艺博览会会场
2013年锦州世界园林博览会会场 等
1. 您如何理解“设景”?“设景”这个概念是在何种背景下提出来的?
20世纪的文明带来了地域风土和生活空间的均一化。拥有同样面貌的都市在各地被建造起来,其规模是人类至今从未体验过的。然而为了维持这个巨大的以人类生活为中心的作为都市的“容器”,我们牺牲了大量的自然环境。
在受到了20世纪城市化进程影响的21世纪,城市人口日益集中,成为了一个可以称之为“都市的世纪”。在这样一个世纪里我们需要理解,设景的对象是拥有地球、宇宙视野的环境,多样生物的共生伦理,换句话说,语境的中心转移到了在空间中讲述“亚洲的心脏”这个事实上。设景需要考量全体空间系和个别空间系的关系,从而进一步对间接对象予以加工,以此为基础来处理具体的事例。
在以地球规模来考量环境的时代,设景的对象范围遍及陆地、水体和大气区域。这超越了在一定程度上有限的空间内创造园林的传统造园概念。我们必须在都市、地域、国土,乃至无边界的形态中认识环境,以这种认识为导向来整理设景的对象的话,可以将住宅区、地区、都市、地域、国土、地球规模的环境进行设景的“全体空间系”;和建筑物附带的庭院、广场等生活层面的“生活空间系”;以及公园、绿地、开放空间、休闲设施等“公共空间系”分开来考虑。进一步,气象、天象、事象等自然现象,和人们的生活、行为所带来的丰富的情境所不可或缺的间接对象也包含在内。
在空间序列化的过程中,与设景的构成上关联紧密的周边职能领域:土木、建筑、城市规划对空间的相互调整、补充完善是必不可少的。但是,建筑领域是以“人和空间”为主要着眼点;土木领域则是以建造道路、桥梁整治、改造河川为主业,无论那一方都是以“人和物”为目的。与之相对,设景是将包括了这些的“人和环境”作为研究的对象领域,也就是说,设景师作为工作对象的空间,不仅仅要把握其作为“物”的侧面,更是需要创造生物的感情空间。因此在创造一个新的空间的时候其困难是可想而知的。
在这层意义上,土木、建筑可以说是规格化的世界,相反,设景是融入了感情的非规格化的世界。往往有一些评论家的观点缺乏理论性。但是,我们不能忘记这样一条原则:设景是一个谋求掌管生物世界中枢机能——高维度的人的知性背后的构思和创造力的专业领域。
简单概括设景的概念,我们可以说,设景是科学性地、艺术性地究明人和自然的关系,创造综合了其相互关系的和谐空间,并且持续性地管理和运营的一门技术。
2. 您如何理解作为环境文化的地域景观?
随着近代科技文明的进步,我们成功创造出了生产大量高品质、低价格商品的系统,世界各地带着同样面孔的都市也随之出现,另一方面,地域的固有性也在持续丧失。
这是优先考虑以机能和效率为轴心的人工构筑物伦理(文明的伦理),而忽视大地物语、历史文化为基础的大地伦理的结果,是意识到“图”而忽视“地”的结果。大地上的“容器”——巨大都市,作为“图”出现了,为了维持这个容器的运转,大量自然资源在被持续消耗中。今后的建筑,应该变成与环境一体化的“地”。从环境的视点来看,与其说跟环境保持一体性,不如说具有存在性的同时彰显出其作品性。二者的关系随着时间的推移,作品也能变为一种存在。在现代,为了创造人性的空间,我们需要在以多种生物共生为前提,以考虑生态环境为必要条件的方向上努力,而不是优先考虑仅仅为了“人”的空间。
设定包含群落生境的生物生息空间的原单位,将与各自的目的机能相应的形象(情景、氛围)表现在图纸上的工作,可以进一步将多种集约化信息进行可测量性表达。为了用有限的表现手法来捕捉复杂的东西,我们需要理解人类与多种生物的共生逻辑中所建造起来的生活空间,和这个过程中由于历史、风俗、习惯所造成的价值观的差异。发挥不同地域的个性和所固有的物语性是一项非常重要的工作。
20世纪文明的矛盾,以人为中心的环境创造,渐渐转变为尊重生物多样性和地域历史文化的基本立足点。我们必须以“景观即是文化”的思想为前提,推动地域景观的美化。
今后,作为回答人与自然关系的命题的场所——园林,我想是能实现让二者和谐共存的梦想的。以此勾勒园林的形态,是能够窥见设景最原初、最根本的目标的。21世纪初的今天,我们必须有一种强烈的意识:从以“图”为优先考虑对象的环境创造,到对“地”的意识渐渐提高,并调和二者的关系。我想这是我们需要谋求的目标。
3. 您认为20世纪和21世纪的不同是什么?针对于此,园林的责任和任务是如何变化的?
20世纪在激烈的经济竞争中驱使着先进科学技术的进步,追求功能性、效率性、普遍性和客观性使得大量生产,大量消费在急速增长。20世纪是一个文明的时代。
在文明的、竞争激烈的现代社会中,“知识”的多少成为决定胜败的重要因素。在这个“偏重知识的时代”,认为对环境的顾虑是阻碍经济效率化的要因这种想法,导致了环境问题这种负面财产的出现。这就是20世纪的特征。
基于对这个文明性的20世纪进行反省的21世纪,比起功能性、效率性,我们更强调物语性;比起普遍性,我们更重视独立性;比起客观性,我们更意识到主观性。由环境技术做引导,在创造环境文化上不断探索,新的环境友好型事业逐渐出现。可以说我们正在向文化的世纪急速迈进着。
在这样的变化当中,20世纪给21世纪留下了负面的遗产——环境问题,风景园林需要站在解决环境问题的浪尖,将包含了整个大地生物和生命信息的绿色、水、大气,文明的知识、传统文化三者交汇融合,描绘出一幅综合的图景。
21世纪风景园林的当务之急是恢复在20世纪失去的那些绿色的森林,清澈的河流,澄净的空气。我想,园林工作者们应该有这样一种明确的共识:以前面提到的“设景”的概念为引导,肩负起恢复、创造园林文化的责任和义务。
4. “文明性”与“文化性”的不同在哪里?理解二者关系与风景园林工作的关联性又是什么?
关于如何理解“文明性”和“文化性”,我想用由国家宪法既定的概念来解释比较容易把握,政府公共提供的道路、河川、铁路、港湾、公园、绿地等作为社会资本置备起来的东西可以理解为文明性的。与之相对,“我”基于作为个体的权利,建造并维持建筑物的某种形状和颜色等等这种状态,可以暂时理解为文化性的。
这种文明性的“公”的纵向谱系和文化性的“私”的横向谱系相互交错,才能编织出美丽的织物,思考到这个层面我们就可以考察这二者的相互关系了。
用这种方法来考虑的话,以园林工作之一——公园为例,由政府置备的公园用地、周边道路等基础设施可以理解为文明性的东西,公园的内在实质,设计符合使用者需要的内容,这种行为可以理解为文化性的。
5. 负面设计(minus design)的问题之处和解决策略是什么?
对于负面设计的问题和解决办法有两种思路。
一种是在日本的商业街里能看到的无秩序的招牌看板,让人感觉不到文化的素养,也是看了让人生厌的东西。为了吸引眼球,商户之间相互竞争而出现了夸张的电器装饰、恶趣味的设施等负面设计,换个说法是“减分设计”。这一类问题的解决办法是将“景观就是文化”这个重要的认识广泛向社会普及,拥有美丽景观的街区房产的评价也会变高,景观的设计是有它的经济价值的。
另外一种问题是,20世纪的文明社会不光损害了世界各地的美丽景观,还出现无视生物多样性,砍伐河川周边的树木,在河岸建造巨大的混凝土护堤;为了治水、治山建造的大堤;日本都市道路两旁树立的电线杆等等这些问题。这些将功能性作为最优先考虑因素而建设起来的设施,通过再评价,改善国家层面不可缺少的建筑设施的设计及存在形态,拆除能够拆除的。例如在日本,将路面电线杆改为埋设(虽然目前尚未有进展)。通过改善、拆除这一类公共建筑物,从而减少“负面设计”。
6. 滨海水岸的设景(以台场和横滨港未来为例)
20世纪,海洋的填筑工程大规模展开,大量海洋生物的栖息地因为填埋造地而被封印了起来,很多生命也由此牺牲。基于这个现状,我想在这里介绍两个滨海水岸设景的案例,主题是在新的人工填筑地复原物种多样性,以及人与海洋的亲密接触。
◎台场地区:
在江户时代末期,以美国的佩里提督的黑船来航(迫使日本开国)为契机,1853~1854年一年间,品川海岸极速建立起来了大炮设施,这些作为台场遗迹被保留下来的同时,在海岸填埋地增设了海滨沙滩和展望台。在1975年作为海滨公园正式开园。现在成为了东京的新的观光胜地。
◎横滨港未来地区:
1989年在横滨港的填筑地举办了以“宇宙和孩子们”为主题的国际博览会,会场的旧址位于与东京湾临海副都心相邻的首都圈海湾沿岸的一角。
临港公园护岸可以作为港湾工程的范式,关照到整体景观的低矮栏栅使用了航空材料:钛,具有良好的防海水腐蚀性能。阶梯状的护岸成为贝类生息的场所,同时能起到生物净化水体的作用。
小林治人インタビュー:設景
小林治人(設景家)
学歴:東京農業大学農学部造園学科卒業
叙勲:黄綬褒章、旭日小受章
資格:技術士(都市及び地方計画)、認定国際公園士(CIPP)、公園管理運営士
現職:株式会社東京ランドスケープ研究所代表取締役、一般社団法人公園管理運営士会会長。国際設景集団代表理事、英国ラントスケープ学会名誉副会長、社団法人日本造園学会名誉会員、一般社団法人ランドスケープ協会顧問、IFLAジャパン顧問
社会活動歴:日本造園学会理事・常務理事・副会長・監事、(財)日本造園修景協会常務理事・常任理事、日本建築美術工芸協会専務理事、日本デザイン機構理事、国際造園家連盟(IFLA)第一副会長、日仏友好のモニュメント日本委員会委員、アジア太平洋フォーラムアジア会議会員など歴任。
教育活動歴:日本大学、東京農業大学、北海道東海大学、建設大学(現国土交通大学)、国際協力事業団などの講師。
著書:「『設景』 ―その発想と展開―」、「ラントスケープデザイン」-設景の世界―ほか多数著書あり。
主要作品:お台場海浜公園、みなとみらい臨港パーク、長崎グラバー園、日本ノルウエー友好の庭、国営昭和記念公園、国営アルプス安曇野公園。1970年大阪万博サフ広場、1975 年沖縄海洋博海浜会場、1985年筑波科学博会場、1989 年横浜博会場・1990年大阪花の万博会場、1999年昆明世界園芸博覧会・日本政府出展庭園設景、2000年淡路花博会場、2011西安世界園芸博覧会会場、2013年錦州世界園林博覧会会場などの設景に参加。
質問1、「設景」という概念についてどう理解していますか。どういう背景においてこの概念が生み出されたのですか。
20世紀文明は、地域の風土と生活空間を均一化させた。同じ表情を持つ都市を各地に創出させ、そのスケールも人類が未だ体験したことのないものとなった。さらに、この巨大な人間生活中心の都市という器の維持のために、多くの自然が犠牲になった。
このような都市化が進む20世紀の流れを受けた21世紀は、さらに都市化が進み都市に益々人口が集中する「都市の世紀」となる。都市の世紀の設景対象は地球的・宇宙的な視野を持ってその環境を理解し、多様な生物との共生論理、言い換えれば「アジアの心」を空間の中に語らせることに中心が移ってきていることを認識しなければならない。
設景は、常に全体的・個別的空間系の関係を考え、さらに間接対象を加味して完成させていくことを根底にして具体的事例に当たるのである。
地球規模で環境を考える時代の設景の対象領域は、陸域、水域、気域と広範囲に及ぶ。ある程度限定された空間に園を作ってきた従来の造園を超え、都市、地域、国土、そしてボーダレスな形態で環境問題が認識されなければならない。このような認識を踏まえながら設景の対象を整理すると、住区、地区、都市、地域、国土、地球的規模の環境など全的設景を行う「全体空間系」と、建築付帯の庭、広場など生活レベルの「生活空間系」、公園、緑地、オーペンスペース、レクリエーション施設など「公的空間系」に分けて考えることができる。さらに、空模様、天象、気象、事象などの自然現象や人々の生活の表情、行為などによる情景を演出するために欠かせない間接対象もあげることができる。
この空間の序列化の中で、設景の構成上関連の深い周辺職能分野としての土木、建築、都市計画が取り扱う空間との相互補完、調整は欠かせない。建築が主として「人と空間」を造ることに主眼を置き、土木が道路、橋を作ることや河川整備、改修といった、どちらかといえば「人と物流」を目的とするのに対し、設景はこれらを含めて「人と環境」として捉える分野である。つまり、設景家の対象とする空間は、単に物的な側面から対象をとらえるに止どまらず、生き物の情緒空間を創造するところに困難さがあるといえよう。
その意味では、土木、建築などは規格化の世界ということもできる。設景は逆に情緒性を加味した非規格化の世界であるために論理性に乏しいという評論家もいる。しかし、生き物の世界における中枢機能を司る専門分野としてより高次元な人間的知性に裏付けられた構想・発想力が求められる分野であることを忘れてはならない。
設景の概念を要約すれば、「人と自然の関係を科学的・芸術的に究明して、相互の関係を総合的に調和した空間として創造し、これらを持続的に管理運営する技術」と言える。
質問2、環境文化としての地域景観はどう理解していますか。
現代は近代科学技術文明の進歩による高品質、低価額の製品を大量に生産するシステム造りに成功した一方、世界の至るところで同じ顔をもった都市を出現させ、地域の固有性を喪失し続けている。
それは大地の物語・歴史文化を大切にする論理よりも、機能・効率を軸とした人工的構築物など文明的論理を優先させる姿であった。「地」より「図」が意識されたのだ。大地に巨大都市という「器」が「図」として出現し、この器を維持するために多くの自然資源が消費され続けている。これからの建築などは、環境と一体となって「地」になるべきだと考える。環境という視座から見た時には環境との一体性が保持されて、むしろアノニマス(存在性)な存在でありながらオニマス(作品性)が光る。この両者の関係は時間の経過の中でオニマスがアノニマスにもなる。
現代は人間的な空間造りをするためには、人間のための空間を優先的に考えるのではなく、多様な生き物との共生を前提とした空間・環境を考えることが必須条件という方向に進んでいる、ビオトープなどを含めて生物の生息空間の原単位を設定し、それぞれの目的機能に対応したイメージ(情景、雰囲気)を図面として表現する仕事は、さらに多様な情報の集約化が計られることとなる。限られた表現手法でこの複雑なものを捉え表現するためには、人々が多様な生物と共生しながら築き上げた生活空間と、その過程における歴史、風俗、習慣による価値観の相違が理解され、それぞれの地域の持つ固有の物語・個性を発揮することが大切な仕事となる。
20世紀までの文明的矛盾、人間中心の環境創造から、生物の多様性、地域の歴史、文化などを計画の基本とする。「景観は文化である」という考えを前提として地域の美景化を推進しなければならない。
今後、人類と自然の関係という命題に対する回答の場としての「園」は、両者の調和という夢を表現したものだろう。このような「園」のイメージを描いていくと、ランドスケープ(設景)の原初的、根源的な目標が見えてくる。21世紀の今、「図」が優先され過ぎた環境造りから、「地」への意識を高め、両者の調和を強く意識していくことが求められる。
質問3、20世紀と21世紀の違いは何か?またその違いに対して「園林」の責任と任務はどのように変化しているか。
20世紀は激しい経済競争の中で先端的科学技術を駆使して、機能性、効率性、普遍性、客観性を追求して大量生産、大量消費を急速に進化させた文明的な時代であった。
文明的な激しい競争社会の中では「知識」の多少が勝敗を決定する重要な要素であった。この「知識偏重時代」には環境への配慮が経済への効率化を阻害する要因として考えられた結果、負の遺産として多くの環境問題を生んだのが20世紀であった。
この文明的な20世紀の反省を踏まえ21世紀には、機能性・効率性よりは物語性、普遍性よりは独自性、客観性よりは主観性が意識されるようになった。また環境技術を先取りして環境文化創出に取り組むことで新しい環境配慮型の事業を創出するなど文化を深化させる文化的世紀へと急速に変化しつつあるといえないだろうか。
このような変化が進む中で「園林」の分野では、20世紀が21世紀に残した負の遺産、環境問題解決の先頭に立って、大地に生き物の技術を軸にした緑・水・大気の物語を文明的な知識と伝統的文化とを絡ませて描かなければならないと考える。
21世紀の「園林」は、20世紀に失われた森、清流、澄んだ大気の回復を急務としながら、前記した設景の概念を踏まえて園林文化の回復・創造を展開していく責務を担っているという意識をはっきり園林関係者が共有していくことと考える。
質問4、「文明性」と「文化性」の違い、相互関係の理解と園林の仕事との関係は?
文明性と文化性のとらえ方について、私は国家が定めた憲法によって成り立つ政府「公」が提供する道路、河川、鉄道、港湾、公園、緑地など社会資本として整備されているものを文明的ととらえ、個々人の権利「私」のもとに建設され維持されている建物の形色など決めている状態を文化的と仮に理解して考えたとき、この文明的「公」を縦糸・文化的「私」を横糸にして紡ぐことで美しい織物を完成させることができると考えることで相互の関係性を考察することができる。
この考え方で園林の仕事である公園について考えると、政府によって準備された公園敷地と周辺道路などのインフラを文明的と捉え、公園の中身について利用者の需要にあった内容でデザインする行為は文化的というとらえ方ができる。
質問5、マイナスデザインの問題点と解決策は?
マイナスデザインには二つの捉え方がある。
一つ目の捉え方は、日本の商店街などに見ることができる文化的素養が感じられない無秩序な看板、それも目が腐るかと思われる劣悪なもの、目立たせようと商店などがお互いに競い合った電飾など、悪趣味なデザインを取り除こうという「マイナスのデザイン」言い換えれば「引き算のデザイン」である。これらの解決策として景観は文化であることの認識を広く社会に広めることが重要で、美しい景観の街は不動産評価も高くなる「マイナスのデザイン」は経済的価値があることを知らしめることである。
二つ目のとらえ方は、20世紀の文明的社会が各地に出現させた景観美を損なうばかりでなく川べりの樹木を伐採して生物多様性を無視した河川の巨大なコンクリート護岸、治水・治山のための砂防ダム、日本の都市街路の電柱などなど。機能性最優先の視座で建設されたものを再評価して国土保全に不可欠な構造物のデザインの在り方の改善、さらに撤去可能なものは撤去する、日本では依然として電柱地下埋設化が進んでいないなど公共的な建造物等の改善・撤去していく「マイナスのデザインである」
質問6、水辺の設景
ここでは20世紀、海の埋め立て事業によって多くの海の生き物の生息地が盛土によって封印され多くの命の素が犠牲になった。このことを踏まえ新しい人工の埋め立て地に生物多様性空間の復元と、人々と海の触れ合いをテーマにした二つの水辺設景事例を紹介する。
1. お台場地区
江戸時代末期、アメリカのペリー提督による黒船来航を契機にして1853年~1854年にかけて、品川沖に急遽建設された大筒台場の史跡を保存しながら、埋立地にビーチ・展望デッキ・磯浜を設置し、1975年に開園した公園である。現在は東京の新しい名所となっている。
2. 横浜みなとみらい地区
1989年「宇宙と子供たち」をテーマに横浜港の埋め立地において開催された国際博覧会会場の跡地は東京湾臨海副都心と並ぶ首都圏ベイエリアに一角を構成する地区である。
臨港公園護岸は港湾事業のモデルとして位置付けられている。景観に配慮した低い柵は航空機材のチタンが用いられていて潮による錆を防止している。階段状の護岸は多くの貝類が生息しこれら生物による水の浄化作用にも役立っている。